国重文の仏像「油山観音」が盗難

2009年10月05日

4日午前6時すぎ、福岡市城南区東油山の油山観音の氏田宗貞住職(62)から、本堂に安置していた国指定重要文化財の「木造聖(しょう)観音坐像」が盗まれたと110番があった。早良署によると、観音像と、近くにあった青銅製の鏡と台座が盗まれていた。同署は窃盗事件として調べている。

 福岡県文化財保護課などによると、観音像は南北朝時代に作られたヒノキの寄せ木造りで高さ79.2センチ。1906年に文化財指定。同課によると、山岳信仰の対象で、顔が美しいことで知られ「信仰、文化財双方の面で価値が高い」という。

 同署によると、4日午前5時45分ごろ、参拝に来た夫婦が観音像が盗まれているのを見つけ、住職に知らせた。本堂正面の扉にある四つの南京錠が工具のようなもので切断されていた。

 住職が3日午後5時半ごろに施錠した際に異常はなかった。約20メートル離れた場所に住む住職は4日午前5時半ごろ「ゴトン」という不審な音を聞いたが、それ以上は何も気付かなかったという。

 氏田住職は「自分の命に代えてでも守っていこうと思っていた大切な観音様。一日でも早く返していただきたい」と声を詰まらせていた。

 同課によると、福岡県内で国、県、市町村の指定重要文化財が盗まれるのは初めて。油山観音は約1400年前に開山され、故美空ひばりさんのファンがここで毎年開く供養祭でも知られる。

=西日本新聞朝刊=

重要な文化財です。1日でも早く返還されることを願います。